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DIGITABLE 第10回勉強会レポート

2007 年 11 月 17 日 於:亀戸文化センター(第三研修室)


Photoshop 研究講座「グレーバランス再考、絞りと回折現象の研究」
事例研究「大学アルバム制作の現場報告」    担当:高木真(獨協大学4 年生:
特別報告「CanonEOS-1DsMark Vの概要とDigital PhotoProfessional 解説、 
      ワイヤレス環境(無線LAN)を活用した撮影」
RGB セミナー「本年のまとめ:各現像ソフトの特徴と比較」

担当:平野正志
アルバム委員)

担当:浅野尚之会員担当:高木大輔


2007 年の最終となる11 月の勉強会は第10 回目の記念勉強会として内容も豊富、特例として午前11時からの開催となった。昼休みには会場の亀戸文化センターを抜け出し蕎麦屋で会食を果たし、午後からは地域紙の取材も入るなど一年をしめくくるにふさわしい勉強会となった。

Photoshop 研究編講座
「グレーバランス再考、絞りと回折現象の研究」

まずは平野講師による、前述のQP カードを使用してグレーバランスの意味を
探る報告。同一RAW 画像をSILKYPIX、及びPhotoshopCameraRAW で開き、
グレーバランス情報と調整の比較を行った。尚、SILKYPIX ではグレーバランス、
PhotoshopCameraRAW ではホワイトバランスと使用するスポイトの呼び名は
異なる。
QP カードの白、グレー、黒にスポイトを当て調整を行うとそれぞれがRGB 値の平均に変換しているものと思われるそうだ。この後にトーンカーブで諧調幅を広げる方向で調整するのが基本ということだ。尚、同一画像でも両ソフトで表せるRGB の情報値が異なるため、微妙な色の違いが出る。結果から見るとPhotoshop の方がやや赤みが強い傾向にあるようだ。
 SILKYPIX の画面(上)とPhotoshop
  CameraRAWの画面

  解説を行なう平野正志講師



  平野氏作成の回折チャートの一例


次に同じく平野氏による絞りと回折現象の研究の報告。特にAPS-C サイズではあまり絞らない方がよいといわれてきているが、どうだろうか?平野氏の今回の撮影データによるとf18、f20あたりからピントのあっている部分については急速に解像感が失われていく、被写界深度が増しても“ボケながらピントがあっていく…” ような様子も生じ、今回テストした2 本のレンズ(広角〜標準・望遠ズーム)ではこのあたりに限界があるようだ。

ただビジターで出席したO 氏によると開放描写を謳うような単体レンズ等ではこの絞り値はもっと明るい値になるそうで、メーカーやレンズによる限界値は随分差があるようだ。今回の報告をもとに今後も各会員からの自己のレンズでのテスト情報を待ちたいと思う。
(事例研究)「大学アルバム制作の現場報告」
ビジター会員として参加している獨協大学生の高木真さんによるレポート報告。高木さんは同大のアルバム委員会に属し、年間を通じそのための撮影〜レイアウト等に関わっている。
撮影のデジタル化は2006 年からだそうで、現在の撮影機はNikonD200 が4 台という体制。以前のアナログでの工程は、ゼミやサークル毎のグループ集合撮影には中判カメラ、スナップや個人撮影には35 ミリと使い分けていた。(いずれもネガ撮影)
今年の工程では集合撮影→ RAW → NikonCapture 現像、個人・スナップ撮影→ JPEG といったフローのようで、JPEG の個人写真撮影のモニター用には廉価なテレビモニターを縦にひっくり返して使い、本人に見せるなど、随所に学生らしい率直な工夫や発想が見られる。
機材やソフト・PC については年間計画で拡充がはかられているが、同委員会に入会するスタッフ委員の不足と、一般大学であるがゆえの写真技術への無関心から、スタッフのスキル教育が目下の課題のようだ。
撮影後の膨大なデータ管理や個人情報の保護といった観点も留意しなければならない。
学生ならではの視点のキャンパス生活を身近に感じさせる内容の報告で、“大先輩?” である各会員達の表情も和み、発表後の質疑応答も楽しくかつ実りあるものだった。

現役大学生の立場から発表する高木真学生会員

卒業アルバム制作は一年を通じた大学生の手作り感覚の作業で行われる



(特別報告)「CanonEOS-1DsMark Vの概要とDigital PhotoProfessional解説、
  ワイヤレス環境(無線LAN)を活用した撮影」

続いて特別報告として浅野尚之会員による注目の新機種、CanonEOS-1DsMark Vの概要と解説である。
キャノンMJ(:キャノンマーケティングジャパン株式会社)で活躍される氏ならではの豊富な資料と軽妙なトークに会員達も思わず引き込まれた。
冒頭の浅野氏撮影のCanon デジタル一眼レフによる作品デモンストレーションに続き、“銀塩とデジタルのワークフローの違い” から始まる解説は分かりやすく、かつ示唆にとんだ内容で新製品のEOS-1DsMark Vの特徴が順次理解できるステップとなっている。
それにとどまらず“センサーの大型化がもたらす利点”、“キャノンの画像づくりの特徴” が充分に理解できた。
筆者は2110 万画素の膨大なデータをフレキシブルに活用できる“s RAW” 方式や“PictureStileEditor”の調整方法などにも、大いに関心が持てた。
もうひとつの目玉であるワイヤレストランスミッターによる撮影画像無線LAN の実演も、会員達の関心を呼び、発表前後の休息時間にも質問が相次いでいたようだ。

多岐に亘る内容を充分にお伝えすることが出来ないのは残念の極みだが、1 年の勉強会を締めくくるに相応しい豊富な内容の発表に大満足の一日であった。
(高木記)

 冒頭 自己作品のプレゼンテーションから見るものを
 引き込んでいく浅野会員


 “銀塩とデジタルのワークフローの違い”などの解説
 も、たいへん分かりやすい


 新製品のEOS-1DsMark Vの特徴が順次理解できる
 ステップを踏んだ解説であった

RGB セミナー
  「本年のまとめ:CaptureNX、CameraRAW、SILKYPIX、Lightroom の特徴と比較」

                                                       (レポーター:井村奈加子)
本日は盛りだくさんの内容となり、最終プログラムであるRGB ワークフローセミナー(RAW 現像ソフト:Capture NX、Camera RAW、SILKYPIX、Lightroom のおさらい)は時間制限のあるなか、駆け足で行なわれました。
私達は今年2 月からRAW 現像ソフトについて、
・第1 回勉強会:『RAW 現像ソフトSILKYPIX3.0 の概要』
・第3 回勉強会:RGB ワークフロー解説『JPEG とRAW・RAW 現像
 ソフト別比較』
・第4 回勉強会:RGB ワークフロー解説『RAW 現像のソフト別比較・
 CapyureNX』でも勉強してきましたが、今回はこれらの総集編と
 なりました。
大きな特徴として、
・SILKYPIX:どのメーカーのRAW でも安心して使え、設定いらずのバッチワークで極めて高い現像生産性。
・Adobe Camera RAW:高い汎用性と極めて優れている
 Adobe Bridge やPhotoshop との連携も含めた作業性。
・NIKON Capture NX:現像調整機能が極めて多彩で、
 他のソフトでは出来ない部分修正まで可能。
・Adobe Photoshop Lightroom:充実した比較表示
 機能を使いながらの現像さ行は明瞭でかつ高機能。
などが上げられました。
技術の発達とともに色々な良いRAW 現像ソフトがありますが、自分にあったソフトを見つけるには、どんな環境下であるか?自分が何を行いたいか?などを分析し、自分の好みと合わせて、とりあえず使っ
てみることから始まるような気がしています。
今年最後の勉強会となりましたが、10 回の勉強会を振り返ってみて、ほんの少しずつですが成長できているのかな?と思っています。皆さん今年1 年ご苦労様でした。来年も頑張りましょう! 
(井村記)


SILKYPIX Developer Studio 3.0 の基本画面。
右側のパレットはデフォルトでは非表示


肌色調整ツールのBefor → After
肌色部分を指定するだけで全く
のワンタッチでここまで変わる

SILKYPIX の解説画面から


RAW ソフトの特徴を述べる高木大輔講師


今月の一枚:
注目のCanon ワイヤレストランスミッターによる
撮影画像無線LAN の実演に話の花が咲く

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