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DIGITABLE 第11回勉強会レポート

2008 年1 月19 日 於:亀戸文化センター(第三研修室)


Photoshop 研究講座  「解像度と縮小拡大」
事例研究  「私のデジタル写真の現状: モノクロ」
RGB セミナー 「Photoshop Elements6.0 の概要」


担当:平野正志 講師
担当:永冨雪子 会員
担当:高木大輔 講師


Photoshop 研究編講座
「解像度と縮小拡大」     担当:平野正志 講師

平野講師による、Photoshop 研究編講座。常識と思われる「解像度と縮小拡大」だが、意外に自己流や数値に関する“食わず嫌い” の方も多いのだろう。
まずは、ビットマップ画像とベクトル画像の違いを再確認。
「ビットマップ画像(ラスター画像)・・・ピクセルで出来る画像。
写真。拡大すればピクセルの四角が大きく表示される。
ベクトル画像・・・数学的に定義された直線や曲線で出来る画像、拡大などによる画像の劣化が無い。」という訳だが、我々が通常写真で扱っているビットマップ画像に対して、ベクトル画像はIllustlator などで描いたイラスト画像を思い浮かべるとよいだろう。ビットマップ画像=ラスターデータに対してベクトル画像=ドローデータといった呼び方もある。
次に「解像度の定義」、「解像度の単位(DPI とPPI =同じ数値と考えてよい)」、「モニター解像度(現行通常はば1024 × 768 =XGA)」等の解説が行われた。モニター解像度はホームページ制作など画面で見せるデバイスには重要な概念でで、大きすぎる解像度のデータは、表示速度の低下や通信トラブルを引き起こす。また他の会員から「PC での発表用やワードやパワーポイント等のビジネス書類を作るには、上記XGA から1280 × 860 = SXGA 程度のデータの張込み用ファイルを作るのが効率的だろう」との意見もあった。

ビットマップ画像は拡大すると、
ドットが現れる


モニターのプロパティで、
モニター解像度を選択する

  解説を行なう平野正志講師


さて今回の講座の主眼であるが、問題は「プリントや印刷の縮小拡大に対応するための解像度はどうするか?」である。カタログや写真集などの商業(オフセット)印刷に必要とされる印刷解像度は「300 〜 400dpi」とされるが、数値の幅は印刷で使用されるスクリーン線数の違いによる。インクジェット等のプリンターでは概ねその2/3 の200dpi を基準としていると思われるが、解像度が足りている(あるいは余っている)場合はよいとして、足りない場合は原理的には解像度の補完が必要とされている。
結論から言えば、今日のデジタル愛好家の日常の作業環境を、1000 万画素クラスのカメラの画像+ A3ノビまでのプリンターがスタンダードと考えると、平野講師の考察では「多少の縮小拡大では、極端な画質の差は見られない。またプリント時にのみ必要であれば、Photoshop のプリントプレビューを利用して、補完を行わずにサイズを調整するのが便利だろう。」とのことである。
もちろんそれ以上の大サイズ出力、原版が小さかった場合などは画像自体の縮小拡大が必要となるが、前者の場合、外注ラボなどの対応の違いによって必ずしも自前補完が必要とは限らない。このあたりが解像度の問題をあいまいにしているとも言える。
平野講師の結論では「(プリント)プレビューでの拡大縮小は、いずれもピクセル数を増やしたり減らしたりする補間を行わず、解像度を変更して行われている。極端な縮小はやたらに大きな解像度での印刷となり印刷の設定は重くなるだけだろう、また極端な拡大は印刷解像度を大きく落とし印刷の質にもかかわってきそうだ。印刷サイズに応じてシャープ処理は行われた方が良いと言われることからも、シャープ処理も含めて必要サイズへの解像度の変更の後、プリントプレビューが行われることが良いのかもしれないと思う。しかし、極端な拡大縮小で無い限り、プリントプレビューでの印刷が現実的
に方法として簡単で分かりやすいようにも思う。」となっている。
尚、解像度の理解と日ごろのデジタルフローの目安として、有効と思われる一覧表が筆者の事務所サイトにあるので下記に掲載する。ご活用願いたい。(高木記)

再サンプルによって画像の解像度を縮小拡大


プリントプレビューを利用して、
補完を行わずにサイズを調整

○画像のサイズ(解像度とは?)
デジタル画像を使用するとき、重要な要素のひとつが画できるだけ効率よく、美しい状態でデジタルデータを活解しておきましょう。
デジタル画像を使用するとき、重要な要素のひとつが画像サイズです。
できるだけ効率よく、美しい状態でデジタルデータを活用するためにも画像サイズについて理解しておきましょう。
デジタルカメラで撮影された写真は、ピクセルという点に変換されます。下の表でSXGA サイズの場合、幅:1,280 ピクセル× 850 ピクセル=1,088,000 ピクセル などと記されます。1,088,000 ピクセルというのは、108.8 万画素、端数を省略して俗に「100 万画素」クラスと言われていますね。同様にK10D では3,872 × 2,592 = 10,036,224(1,000 万画素)、K100D では3,008 × 2,000 = 6,016,000(600 万画素)という訳です。



※引用資料:「商品撮影館- なるほどコラム」TK プレスセンター編 http://www.satsueikan.com/colum/colum.html



(事例研究)「私のデジタル写真の現状: モノクロ」担当:永冨雪子 会員
DIGITABLE 恒例の各会員持ち回りによる「事例発表」は、昨年末の忘年会で向こう半年分の順番を決め、新年第一弾は永冨雪子会員となった。永冨会員は全日写連の会員としても活動し、生活圏にある被写体を追って撮影、2000年からニコンサロンなどで個展を開催。2005年には第11 回酒田市土門拳文化賞奨励賞した注目の写真作家でもある。
さて今回は永冨会員が昨年より取り組んでいる、デジタルによるモノクロ作品への取り組みである。
現在の作業環境は右図の通り、ニコンD80 が現在愛用のメイン機である。モノクロの作品を思い立ったとき、当初は撮影時からカメラ側の設定で[ モノクロモード] で撮るか、試行錯誤の時期もあったそうであるが、現在はsRGB カラーで撮影、〜市川ソフトのSILKYPIX3.0 で調整後モノクロ、EPSON PX-5500 で出力といった作業フローに落ち着いたようだ。
調整作業は原則としてSILKYPIX で完結し、Photoshopは修正など生じたとの補助作業のみだそうである。
永冨氏の目下の悩みは(銀塩時代に比べ)「モノクロの諧調がいまひとつ…」だそうで、持参した作品のサンプルプリントからも、そのことが覗えるようだ。
PC でSILKYPIX を使った調整作業の実演を見せてもらったところ、(窓などの諧調の白トビを気にして)ダイナミックレンジ拡張のスライダーを多用していることが分かった。SILKYPIX の同機能はたいへん強力でスライダーには名目上6 絞り分の調整幅が振られているが、「実質効果的な諧調増幅(感?)が得られるのは1〜2絞り程度までと心得え、目視で諧調を確認しながら数値は出来るだけ抑えるべきだ」(高木)等の意見があった。諧調増幅と裏腹に、諧調の圧縮感が生じる傾向があり、過度な諧調増幅はすなわち「諧調をネムくする」危険性がある。
(※尚、フジのFinePixS3 等では独自の諧調構造のため、SILKYPIX の同機能と相性がよく、更に1 〜 2 絞り分の効果が得られると言われている)使用カメラのニコンD80 の場合、「元々コンシューマ機なので初期設定ではコントラストが高く、諧調設定を『ソフトに』にした方が白トビが抑えられ、後の画像処理に適する」という意見もあった。
また「作品内容から見て、(商業写真とは違い)白トビやツブレなどの調整も過度に気にする必要はないのでは?」(鈴木)などの意見もあった。このあたりはデータ的に見れば、いくらでも気になってしまいがちなデジタルデータの怖さでもある。
また、モノクロプリント時のプリンタプロファイルには独自に研究している作家も多く、特に「EPSON のサイトからPX-5500 用のお勧めのプロファイルが手に入るので、活用してみたら…」(井村)、「ラボを有効に活用してモノクロプリントの客観的視点をつくる」(平野)などの意見もあった。
ともあれ、本格的なデジタル始動から日も浅く、試行錯誤の面もまだあるようだが、作家としての実績と作品内容には定評のある同会員だけに、今後も大いに期待のふくらむ活動内容を垣間見ることが出来、新年にふさわしい発表となった。     (高木記)

パワーポイントで発表を行う永冨雪子会員




撮影後は主にSILKYPIX で画像を調整

実際のプリントを前に説明する永冨会員

たくさんの作品サンプルをお持ちいただいた。
作品内容は、どれも永冨会員らしい
個性に溢れている



RGB セミナー 「Photoshop Elements6.0 の概要」     担当:高木大輔 講師
                                                       (レポーター:井村奈加子)

今回は『Elements6.0』の解説です。『Elements5.0』と比べ、スタートアップスクリーンにカラー画像が用いられ、作業画面の基調もライトグレーからダークグレーに変わり、華やかになった印象を受けました。ソフトの性能はさることながら、デザインにおいても力が入れられ、ユーザーの興味がそそられる出来上がりになっていて、自分の写真が良く見える気が・・・?!錯覚?!
色々なソフトに共通していえることですが、視覚による効果でとっつきやすさが大きく変わってくるものだと実感しました。
【Browser モード】
人物、場所、イベント毎に各自で分類しやすい名札を作り、該当する写真をクイックするだけでその名札がつけられ、お気に入りに★をつけることにより、グループ+重要度分けができます。デジタルカメラになってどうしても撮影枚数が多くなってしまい、撮った写真をどういう方法で管理するか?には本当に頭をかかえてしまいますが、これを利用することにより、見つけたい写真をすぐに選び出せるような気がします。ただ、自分自身の使いやすさを確立するには、どんな名札を作成すべきか?を試行錯誤する必要があるのでしょうね!
【ガイド編集モード】
Photoshop にはたくさんの機能が備わっています。でも、どこにあるか?どうやって使えばいいか?が分からない時、修正や編集したい内容をリストから選択しながら操作することができ、新しいガイド付き編集機能を使えば、操作の手順もすぐにわかります。初めてPhotoshop を使用した時、どこにあるの〜?どうやって使えばいいの〜?と苛立ってイヤになってしまったことを思い出しました。理解してしまえば当たり前のように出来ることが、取っ掛かりが分からないため進まない!時間はどんどん過ぎていくのに成果は上がらない!そんなことを解決してくれる機能のような気がしています。
また、補正前後の画面を並べて表示できることで、つい補正の度合いがエスカレートしていくことに歯止めが利きます。どの位の補正がかかっているかを比較しながら作業できることにとても魅力を感じました。この機能は、Photoshop CS2 にはありません。CS3 にもないはずです。本当に喉から手がでるほど欲しい機能です。
【クイック補正モード】
CS2 を利用している私にとってCS3 からしか使用できない「クイック選択ツール」が『Elements6.0』にはあるのです。本当になんと簡単に範囲選択が・・・!
細かい選択は投げ縄ツールで行なうとしても、ここまで自動で行なえると随分と作業時間が短縮できます。
合成写真を手がけている私には、選択範囲の確定が全てといっても過言ありません。これも本当に欲しい機能です。また、ゴミや、顔のシワ、シミなどちょっとした画像修正に威力を発揮する修復ブラシも使えます。本当にいたれりつくせりですね!
【モノクロバリエーション】
ポートレート(人物)、新聞、風景等が選択でき、モノクロ写真が手軽に素早く作成できます。また、スライダーで微調整することにより、自分の好みに仕上げることも可能で、微調整値を憶えておくと自分の好みの写真を再現することもできます。本当に簡単に・・・!
今のソフトに求められていることは簡単に思い通りになることで、今回の解説により、『Elements6.0』はその要求が十分満たされている気がしました。
 (井村記)



Photoshop Elements6.0 の写真整理モード
ブラックマスクでデザインも見やすさも改善した

二画面を使った補正はとても便利で快適!
(画面はレンズフィルタ補正)

16bit での補正が可能な機能の説明メニュー

新機能のガイド付編集
 従来からのクィック補正同様に
補正前・補正後の二画面表示が可能


今月の一枚:
“今年は寒い?”…勉強会会場前の噴水の亀の子?
たちも凍りついた


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